ナイトクローラー

ナイトクローラー

感想

本作でフレッシュな点は2点です。

まず、ジェイク・ギレンホールのキャラ造形。

普通こういった「感情移入できない主人公」を造形する場合、もう少し悲劇的だったり、孤独だったり、哀れみを持った描き方をするものなんだけど、一切そんなことはない。

ゲスをゲストして描く。

しかも、単純な勧善懲悪でもなく、ある程度そうなってしまった社会的な背景も描かれています。

要するに、現代ではこういった雰囲気のサイコパスって意外と少なくないんじゃないか?と思わせる、リアルな実在感があるのです。

女を口説くときすら、交渉相手との商談のようにしか口説けないキモさ。

それでも、それに対して観客に「哀れだな」と同情に向かわせる演出では決してなく、「いや、それでうまくいってるんだけどなにか?」と開き直られたときの取りつく島の無さ、というか。

そしてもう一点は、演出の対位法(?)。

あんなにゲスなことをしているのに、バッグで流れているBGMは感動的だったり、勇ましい感じだったりして、あくまで表面的にはこのゲスのサクセス・ストーリーを見せますよ、という体裁を演出上は崩していない点。

主人公の視点を通して、こんなゲスを生み出した社会に対するアイロニーを表現しています。

要するに、わかる人はわかるでしょ(笑)という、微妙なサジ加減。

これはありそうでなかったバランスだと思いました。

あの一切動じないギレンホールの目は、もはやギャグ(笑)。

たとえば、『007』でも『アベンジャーズ』でもなんでもいいんだけど、ヒーローが活躍するシーンの隅の方に、よく見たらピッタリと張り付いて一部始終をカメラに収めているパパラッチが写りこんでいたら…?

そんなことを想像していると、実際かなり笑えませんか?